「おまえ、おそかったな、先に晩飯作って食ったぞ」
「え、う・ら・ぎ・り・も・の!」
「裏切り者って・・普通食うだろ!」
「だって、マンボウ雑炊一緒に食べようと思ったのにぃ」
「あ?・・・手に持ってるのはフグ雑炊の袋だろが!?」
「いいじゃない・・おんなじような形の魚だし!」
「それより、どうして遅れたか説明しなさい」(普段はこんなことは言いません)
「え、だって、ユウホウに誘拐されたのよ」(ほら当たった!)
「で、どうして誘拐されたの?」
「トルタコスは、実はユウホウの秘密基地だってこと知ってた?」
「知るかよ!で、何やってたんだ?」
「それは秘密なの。それをしゃべると殺されるのね。」
「はーー?」
「それで、トルタコスのマスターが結婚式に出るなら3万円払えって友達に冗談言ってて・・・」
「え?」
「だから、土曜に店閉めて結婚式に出ると売上が減るので、その分払えって冗談言って・・」
「いや、それはこの問題と関係ないだろ」
「とにかく、このお菓子食べてもいい?」
というと、私の机の上にあったゼリーをもって行ってしまった。
「このゼリー誰に貰ったの?」
そう言うと、扉の向こうでユミツエワンは満足気にお菓子を食べ始めた。きっと、トルタコスでもなにか食っているはずだ。そうでなければ自分の夕食だけでも作るはずだと思う私だった。
熊本草千里の朝もや(撮影浅川正二) |